ボクシングですぐ疲れる原因は?スポーツに共通する「疲れる動き方」

BOXING CLUBとは

運動やボクシングですぐ疲れる原因は、スタミナ不足だけではありません。

肩や拳に力が入り続けている、呼吸を止めている、腕だけで動いている、足を踏ん張りすぎているなど、必要以上に体力を使う「疲れる動き方」が影響していることがあります。

体力を鍛えることも大切ですが、その前に力の入れ方、呼吸、フォーム、ペース配分を見直すことで、同じスタミナでも動ける時間は変わります。

「ボクシングって、こんなに疲れるんですね」

体験レッスンや、入会して間もない会員様から本当によく言われます。
たしかに、ボクシングは疲れます。

パンチを打つだけではありません。
構える、動く、避ける、相手を見る、また打つ。
短い時間の中で、全身を使いながら判断を続けます。
決して楽な運動ではありません。

ただ、トレーナーとして練習を見ていると、単純なスタミナ不足だけが原因ではないと感じることがあります。

スタミナがないというより、必要以上に疲れる動き方をしている。
そう見える方がかなり多いです。

腕が重くなる。
肩が張る。
すぐに息が上がる。
足が止まる。
最後はパンチを打つというより、腕を前に出しているだけになる。

初心者の方にはよくあることです。

才能がないわけでも、根性が足りないわけでもありません。
まだ、力を入れる場所と抜く場所が分からないだけです。

今回は、ボクシングですぐ疲れる原因と、疲れにくく動くために見直したいポイントをお話しします。

この記事を読むと、腕や肩が疲れる理由、息が上がる原因、足が止まる原因、そして疲れにくく動くための考え方が分かります。


なおこちらのコラムは、BOXING CLUB佐藤崇之トレーナーが監修しております。

佐藤崇之(さとう たかゆき)

︎・25歳で運動不足解消・ダイエットを目的にイマオカボクシングジム(現BOXING CLUB渋谷)に入会
・運動嫌いが半年で20Kg以上のダイエットに成功し、ボクシングのみならず運動生理学や身体構造に興味を持つ
・脱サラしスポーツトレーナー養成学校に入学しアスレチックトレーナーを目指す。
・細かい技術や、戦いにおける戦術、心理的側面など知っているようで知らない内容のコラムを発信中
・「感覚」よりも「理論」で会員様と同じ目線での指導を心掛けております。


ボクシングですぐ疲れる最大の原因は「力み」

ボクシングで疲れやすい人を見ていると、最初の30秒くらいで分かることがあります。

構えた瞬間から肩が上がっている。
拳を強く握り続けている。
ミットの合図が出る前から身体が固まっている。
相手が目の前に立っただけで、呼吸が浅くなっている。

本人は一生懸命です。

強く打ちたい。
速く動きたい。
上手くやりたい。
パンチをもらいたくない。

その気持ちはよく分かります。
ただ、ボクシングは最初から最後まで全部を全力でやると、すぐにガス欠になります。

全力で構える。
全力で打つ。
全力で避ける。
全力で元の位置に戻る。

これを繰り返したら、体力がある人でも疲れます。

初心者の方は、どこで力を入れて、どこで抜けばいいのかがまだ分かりません。
そのため、パンチを打っていない時間まで力が入りっぱなしになります。

車で言えば、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態です。

前に進もうとしているのに、自分の力で自分の身体を止めている。

疲れにくくなるために、まず必要なのは「もっと頑張ること」ではありません。
無駄に頑張っている時間を減らすことです。


パンチを打つと腕や肩が疲れるのはなぜ?

「ミットを打つと、すぐに腕がパンパンになります」
これはよく聞く言葉です。

もちろん、慣れていない運動なので腕が疲れること自体は普通です。

ただ、極端に腕や肩だけが疲れる場合は、腕だけでパンチを打っている可能性があります。

パンチは、腕だけで打つものではありません。

足元で身体を支え、股関節や体幹が動き、その力が肩、腕、拳へ伝わります。
全身の動きがつながることで、必要以上に腕へ負担をかけずにパンチを打てます。

ジャブや速いパンチでは、見た目には拳が先に出ているように見えます。

ただし、拳だけを無理に前へ飛ばそうとすると、肩のところで動きが詰まります。
肩に力が入り、腕を振り回すような打ち方になりやすいです。

ミットを持っていると、この違いはよく分かります。

本人はかなり力を入れている。音も大きい。でも、ミットに重さが伝わってこない。

反対に、それほど力んでいないのに、ズシッと重さが伝わってくるパンチもあります。

この差は、単純な筋力ではありません。身体がつながっているかどうかです。

腕だけで打てば、腕が疲れます。
肩で押し込めば、肩が張ります。
拳を握り続ければ、前腕が固まります。

疲れにくいパンチを打つには、強く打とうとする前に、全身をつなげて打つ感覚を身につけることが大切です。


ボクシングですぐ息が上がる原因

ボクシングですぐ息が上がると、「心肺機能が弱い」「もっと走らなければ」と考える方が多いと思います。

もちろん、スタミナをつける練習は必要です。

ただ、その前に確認したいのが、動いている最中に呼吸を止めていないかということです。

パンチを打つ瞬間に息を止める。
相手のパンチを避けようとして息を止める。
ミットの合図を待っている間も呼吸が浅い。
緊張して、胸や背中まで固まっている。

これでは、すぐに苦しくなります。

本人は呼吸しているつもりでも、実際には肩だけで浅く呼吸していることがあります。

呼吸が浅くなる。
肩が上がる。
パンチが遅くなる。
足が止まる。
焦る。
さらに息が乱れる。

この流れに入ると、かなりきついです。

初心者の方には、強く打つことより先に「パンチと一緒に息を吐きましょう」と伝えることがあります。

打つ時に短く吐く。
避けた後も呼吸を止めない。
相手を見ている時間も、ゆっくり呼吸を続ける。

地味ですが、かなり大事です。

息が止まると、身体も固まります。身体が固まると、同じ動きをするにも余計な力が必要になります。

スタミナをつけることと、呼吸を止めないこと。両方が必要です。


フットワークで足が疲れて止まる理由

疲れてくると、だんだん足が止まる。

これもボクシングではよくあります。

ただ、足が止まる方は、疲れてから急に動けなくなったわけではありません。
最初から、足が疲れやすい使い方をしていることがあります。

床を強く踏みすぎる。
膝が固まっている。
腰を落としすぎている。
一歩ごとに大きな力を使っている。
安定しようとして、床に張りついている。

構えを安定させようとすることは大切です。

ただ、安定しようとして踏ん張りすぎると、次の動きが遅れます。
動けないから、さらに力を使って身体を動かそうとする。
そして脚が疲れます。

ボクシングの足は、ただ強く床を蹴ればいいわけではありません。

踏む瞬間もあれば、力を抜く瞬間もあります。

上手い人のフットワークは軽く見えます。
しかし、打つ瞬間や方向を変える瞬間には、必要な分だけしっかり床を使っています。

ずっと強いのではなく、軽い動きと強い動きの切り替えがあるということです。

疲れにくい足を作るには、脚力を鍛えるだけでは足りません。
踏み方、重心の置き方、力の抜き方を覚える必要があります。


ボクシングで疲れにくくなる5つのポイント

「では、具体的に何を意識すればいいか?」

まずは、次の5つを確認してみてください。

構えている間、拳を握り続けない

拳をずっと強く握っていると、前腕から肩まで固くなります。

パンチを当てる瞬間には拳を締めますが、それ以外の時間まで力いっぱい握り続ける必要はありません。

パンチを打つたびに息を吐く

息を止めてパンチを打つと、すぐに身体が固まります。

「シュッ」と短く吐くだけでも構いません。
まずはパンチと呼吸を合わせる習慣をつけましょう。

すべてのパンチを100%で打たない

ワンツーもフックも、毎回全力で打とうとすると長くは続きません。

軽く触るパンチ、相手を動かすパンチ、強く当てるパンチ。それぞれ役割が違います。

一歩ごとに床を強く蹴らない

フットワークで毎回大きな力を使うと、脚が早く疲れます。

まずは小さく、静かに動く。必要な瞬間だけ床を使う。この感覚が大切です。

疲れてきた時ほどフォームを小さくする

疲れてくると、パンチを大きく振ったり、足を大きく動かしたりしがちです。

しかし、大きな動きほど体力を使います。

疲れてきた時こそ、構えを整え、パンチをコンパクトにし、呼吸を戻す。そこで雑にならないことが大切です。


上手い人は、ずっと全力で動いていない

上手いボクサーを見ると、ずっと動き続けているように見えます。

ずっと集中している。
ずっと速い。
ずっと相手にプレッシャーをかけている。

ただ、実際にはずっと全力ではありません。

動きながら、少しずつ休んでいます。

ジャブで距離を取る。
相手の正面から外れる。
打たれない位置へ移動する。
無理な打ち合いを避ける。
ステップを使って時間を作る。
その間に呼吸を戻す。

こうした小さな回復を、ラウンド中に何度も作っています。

初心者の方は、休む時に完全に止まってしまうか、休み方が分からずにずっと頑張り続けてしまいます。

これでは、体力が持ちません。

ボクシングは、根性だけで動き続ける競技ではありません。

頑張るところと、頑張らないところを作る。
必要な瞬間に力を使う。
必要のない時間は力を抜く。
動きながら呼吸を整える。

スタミナがあるように見える選手ほど、実はスタミナの使い方がうまいです。


ボクシングの疲れに関するよくある質問

Q
ボクシング初心者がすぐ疲れるのは普通ですか?
A

普通です。

慣れていない動きをすることに加え、緊張や力みによって必要以上に体力を使っています。練習を続けてフォームや呼吸に慣れると、同じ運動量でも疲れ方が変わってきます。

Q
パンチを打つと肩や腕が疲れるのは筋力不足ですか?
A

筋力不足だけが原因とは限りません。

肩に力が入っている、拳を握り続けている、腕だけでパンチを打っていることも大きな原因です。腕を鍛える前に、フォームをトレーナーに確認してもらうことをおすすめします。

Q
ボクシングで息が上がらないようにするには?
A

パンチを打つ時に息を吐き、打っていない時間も呼吸を止めないことが大切です。

また、最初から全力で動かず、ラウンドの中でペースを作ることも必要です。

Q
ボクシンボクシングのスタミナをつけるには走った方がいいですか?
A

ロードワークは有効です。

ただし、力んだフォームのままでは、体力がついても必要以上に消耗します。
走る練習と同時に、脱力、呼吸、パンチフォーム、フットワークも見直しましょう。

Q
何ラウンド動ければスタミナがあると言えますか?
A

練習の強度や目的によって変わるため、一概には言えません。

まずは、決められたラウンドを動き切ることよりも、最後まで呼吸やフォームを大きく崩さずに動くことを目標にしてください。


まとめ|スタミナとは、雑に頑張らない力

ボクシングですぐ疲れる理由は、体力不足だけではありません。

腕だけでパンチを打っている。
肩や拳に力が入り続けている。
呼吸が止まっている。
足を踏ん張りすぎている。
最初からすべてを全力でやろうとしている。

こうしたものが重なり、本来よりも早く疲れていることがあります。

もちろん、スタミナは必要です。

走ることも、追い込むことも、体力をつけることも大切です。

ただ、本当に疲れにくい人は、ただ我慢強い人ではありません。

力の使い方がうまい。
呼吸の戻し方がうまい。
休む場所を知っている。
無駄な動きが少ない。

つまり、効率がいいんです。

「自分はすぐ疲れる」と感じている方は、体力だけを疑う前に、一度動き方を見直してみてください。

肩が上がっていないか。
拳を握り続けていないか。
パンチの瞬間に息を止めていないか。
床を強く踏みすぎていないか。
最初から全部を全力でやっていないか。

こうした部分は、自分だけではなかなか気づけません。

自分では力を抜いているつもりでも、外から見ると肩が上がっていることがあります。
足を使っているつもりでも、実際には床に張りついていることもあります。

だからこそ、トレーナーに動きを見てもらう意味があります。

ボクシングのスタミナは、ただ我慢する力ではありません。

雑に頑張らない力です。

必要な時に力を使う。
必要のない時は抜く。
動きながら呼吸を戻す。
疲れてもフォームを大きく崩さない。

ここが身についてくると、後半でも動けるようになります。

パンチのキレも落ちにくくなります。

そして何より、ボクシングが少し楽になります。

楽になるというより、余計な苦しさが減る、と言った方が近いかもしれません。

疲れにくい身体は、ただ鍛えるだけでは作れません。

力を入れる場所と、抜く場所を覚えること。

それが、ボクシングを長く楽しみ、上達していくための大切な一歩です。



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